【はじめての Vertex AI 入門ガイド:何ができる?セキュリティは?やさしく解説】
目次
はじめにVertex AIってなに?今知っておきたい Vertex AI のポイント(2025年版)① 最新のAIモデル「Gemini 2.5 Pro」が登場(2025年6月17日 GA)② 200種類以上のAIモデルが使える「Model Garden」(※2025年10月現在)③ AIエージェントを作れる「Agent Builder / Engine」④ 情報管理やセキュリティにも強いVertex AI でできること(ざっくりマップ)どうして Vertex AI が選ばれるの?実務でのはじめ方(コンソール画面で操作する方法)Pythonでの使い方(コードで試す方法)よくある使い方とそのポイントセキュリティに関する大事な話料金とコストの考え方かんたんシミュレーション(Gemini 2.5 Pro)AutoMLの学習費用って?コストを抑えるためのポイント補足:キャッシュとは?よくある質問と対策まとめ公式リンク集おわりにサービス紹介お問い合わせ採用
今知っておきたい Vertex AI のポイント(2025年版)
① 最新のAIモデル「Gemini 2.5 Pro」が登場(2025年6月17日 GA)
- より高性能な会話や推論が可能になり、日本国内(東京リージョン:asia-northeast1)でも利用可能になりました。
→ モデル紹介ページ
② 200種類以上のAIモデルが使える「Model Garden」(※2025年10月現在)
- Google公式だけでなく、他のAI企業やオープンソースのモデルもまとめて選べます。
③ AIエージェントを作れる「Agent Builder / Engine」
- 自動応答や社内情報検索など、人の代わりに働くAIを自分で組み立てて使えます。
→ エージェント概要
④ 情報管理やセキュリティにも強い
- 企業向けの機能として、**日本国内でのデータ処理(データレジデンシ)や暗号化の設定(CMEK)**なども対応。
Vertex AI でできること(ざっくりマップ)
| カテゴリ | 概要 | 
|---|---|
| ✨ 生成AI | GeminiやClaudeなどの会話AIを使える。 UIで試す→コードで実装。 | 
| 📊 従来型ML | 表データや画像などを使ってAIを自動で学習。 AutoMLや手動学習も対応。 | 
| 🔎 検索連携(RAG) | 社内文書からAIが答える仕組み。 根拠付き回答ができる。 | 
| 🔧 MLOps | AIモデルの管理・評価・監視などを一元化できる。 | 
※RAG機能のセキュリティ対応は機能ごとに異なります。たとえば Vertex AI RAG Engine は VPC-SC や CMEK に対応していますが、Data Residency(地域内処理)は対象外です。Vertex AI Search の一部 RAG API(grounded generation やランキング)も CMEK 非対応です。用途に応じて確認が必要です。
▼Vertex AI 導入をご検討の方は、こちらのサービスがオススメです。
どうして Vertex AI が選ばれるの?
- ✅ 安心のセキュリティ設計
日本国内でのデータ処理や、お客様自身の暗号鍵を使う設定など、企業にとって安心できる仕組みが用意されています。
- ✅ 世界中で使える
日本(東京リージョン)を含め、世界各国で利用できる設定があります。→ 対応リージョン一覧
▼「リージョン」とは?
- ✅ 使いやすいSDK(開発ツール)
「Google Gen AI SDK」 を使えば、Vertex AI と Developer API のどちらにも、同じコードでアクセスできます。
- ✅ たくさんのモデルから選べる
AIのモデルは目的に応じて選ぶのが大事。Googleだけでなく、他社やOSSのモデルも一覧で探せます。
料金とコストの考え方
Vertex AIは「使った分だけ費用が発生する従量課金型」のサービスです。費用はモデルの種類・使い方・利用量によって大きく変わります。
| 視点 | 概要 | 
|---|---|
| ① モデル選定 | 高性能モデルほど高額 (例:Gemini 2.5 Pro) | 
| ② 利用量 (トークン) | 入力・出力のトークン(文字)量が多いほど高くなる | 
| ③ 処理方法 | 自動学習や独自学習はマシン使用料が発生(AutoML等) | 
かんたんシミュレーション(Gemini 2.5 Pro)
「Vertex AIって、結局いくらかかるの?」
そんな方のために、よくある利用例ごとに料金の目安をご紹介します。
このシミュレーションでは:
- 1ドル=150円(レートは目安)
- 1文字=だいたい0.25〜1トークン
- モデルは Gemini 2.5 Pro(高性能モデル)
を使ったときの料金をざっくりと試算しています。
※実際の料金は、使うモデルの種類・文字数・使い方(キャッシュの有無など)で変わります正確な料金は公式ページをご確認ください:
よくある利用例とその料金目安
| 利用シーン | どんな使い方? | 月額の目安(概算) | 
|---|---|---|
| 社内向けチャットボット | 月100回 × 1000文字くらい | 約 ¥40〜170 /月 | 
| 社外からの問い合わせ自動応答 | 月1000回 × 1500文字くらい | 約 ¥630〜2,530 /月 | 
| 週1回の資料要約 | 月4回 × 1万文字をAIで要約 | 約 ¥20〜70 /月 | 
| AIモデルの学習(AutoML) | 1〜2ノードで3時間の学習 | 約 ¥1,500〜3,100(1回あたり) | 
💡 入出力の合計トークン数によって価格が変わります。出力トークン(AIが返す文の長さ)の方が単価が高い点もポイントです。
トークン単価(参考)
- 入力:$1.25/100万トークン
- 出力:$10.00/100万トークン(Gemini 2.5 Pro)
たとえば「1000文字のやりとり」を月100回すると、
おおよそ「10万〜40万トークン」くらい使うイメージです。
AutoMLの学習費用って?
自分のデータを使ってAIモデルを学習させる場合(AutoML)は、
マシンのスペック × 学習時間 × ノード数(並列数) で料金が決まります。
- 例:1ノードあたり $3.465 / 時間
- 学習時間:3時間 × 1ノード = 約 ¥1,560
👉 使うデータの量や精度の要件によっても変わります。
詳細はこちら → Vertex AI AutoML 料金表(Google公式)
コストを抑えるためのポイント
| 工夫できるところ | 具体的な方法 | 効果 | 
|---|---|---|
| 軽量モデルを選ぶ | Gemini 2.5 FlashやFlash-Liteはかなり割安 | 月数百円から検証可能 | 
| プロンプトを最適化 | 無駄な言葉や重複を減らし、返答も短くする | 出力トークン削減 → 安くなる | 
| キャッシュを使う | 同じやりとりは「暗黙キャッシュ」で再利用 | 最大90%ディスカウント | 
| 安定版モデルに固定 | モデルのアップデートによる想定外の再試行を防ぐ | 料金ブレを防止できる | 
補足:キャッシュとは?
AIのやりとりを一部記憶して再利用する仕組みです。
「似た質問・同じ内容」にはキャッシュが効いて料金が安くなる可能性があります。
| キャッシュの種類 | 特徴 | 料金 | 
|---|---|---|
| 暗黙キャッシュ | 自動的に使われる | 最大90%オフ | 
| 明示キャッシュ | 自分で設定して保存 | 保存料あり(例:$4.5/100万Tok-時) | 
補足:一部のAPI(Batch API)はまとめて処理することで割安に。Gemini + Google検索やMaps連携(Grounding)は、無料枠が設定されている機能もあります。
まとめ
| トピック | 要点 | 公式ドキュメント | 
|---|---|---|
| Vertex AI の位置づけ | 生成AI+従来ML+MLOpsの統合基盤 | (Google Cloud Documentation) | 
| 最新モデル | Gemini 2.5 Pro (2025-06-17 GA、東京対応) | (Google Cloud) | 
| モデル選定 | Model GardenでGoogle/パートナー/OSSを一元管理 (SFT可否はモデル依存/2.5 ProもSFT対応) | (Google Cloud) | 
| 使い方の最短経路 | Studioで試す→Gen AI SDKで実装 | (Google Cloud) | 
| セキュリティ | データレジデンシ、VPC-SC、CMEKの対応表を確認 (RAG APIの一部は Data Residency/CMEK 非対応) | (Google Cloud) | 
| RAG/エージェント | RAG Engine、Agent Builder / Agent Engine を用途別に | (Google Cloud Documentation) | 
| 従来ML | AutoML と Custom Training、Pipelinesで再現性 | (Google Cloud Documentation) | 
| 料金 | Generative AI と Vertex AI の料金ページを併読 | (Google Cloud Documentation) | 
| 権限 | 付与が出発点 | (Google Cloud) | 
公式リンク集
| 用語 | 解説 | 公式 | 
|---|---|---|
| Vertex AI | Google Cloud の統合AIプラットフォーム | (Google Cloud) | 
| Gemini 2.5 Pro | マルチモーダル生成AIの最上位系 | (Google Cloud Documentation) | 
| Model Garden | モデルの発見・評価・導入の場 | (Google Cloud Documentation) | 
| Vertex AI Studio | プロンプト実験のUI | (console.cloud.google.com) | 
| AutoML Tabular | 表形式データの自動モデリング | (Google Cloud Documentation) | 
| Vertex AI Pipelines | MLパイプラインのオーケストレーション | (Google Cloud) | 
| Vertex AI Agent Builder/Engine | 企業向けAIエージェントの構築・運用 | (Google Cloud) | 
| データレジデンシ | 地域内処理に関するポリシー | (Google Cloud) | 
| VPC Service Controls | データ持ち出し境界の構成 | (Google Cloud) | 
| CMEK | 顧客管理鍵による暗号化 | (Google Cloud) | 
おわりに
Vertex AI は、AIを業務に取り入れたい企業にとって、非常に強力で柔軟なプラットフォームです。最初はとっつきにくく感じるかもしれませんが、小さなプロジェクトから始めて、少しずつ慣れていくのがおすすめです。
Elcamyでは、要件整理からPoC、開発実装・評価まで伴走するVertex AI 導入支援を提供しています。実務導入を検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。

