【2026年版】OpenClawセキュリティ実務ガイド:危険ポイントと“安全寄りの設定”チェックリスト

[更新日:2026-2-12]

はじめに

OpenClawは「自分の端末で動くAIアシスタント」という魅力がある一方で、設定や拡張(skills)の扱いを誤ると、情報漏えい・マルウェア感染・権限乗っ取りにつながり得ます。
2026年1月末〜2月にかけて、skills(拡張)配布を悪用した事例が複数メディアで報じられました。OpenClaw側も、ClawHub(skills配布)に対して VirusTotalによるスキャンを導入するなど、対策強化を進めています。(The Verge)
 
この記事では、OpenClawの公式に公開されている情報(ドキュメント/GitHub)を軸に、初心者にも迷いにくい形で 危険ポイント安全寄りの設定チェックリスト を整理します。(OpenClaw)
※本記事は公開情報に基づく一般的な留意点です。個別環境の最適解は要件・運用により異なるため、導入時は社内の情報システム/セキュリティ担当と合わせてご確認ください。
 

目次

OpenClawとは

OpenClawは一言でいうと、「チャットで指示すると、あなた(またはあなたが用意した環境)の中で“実際の作業”まで進められる、自己ホスト型のAIアシスタント(AIエージェント実行基盤)」です。
ChatGPTのように“文章を返すAI”に加えて、OpenClawは メール処理、カレンダー操作、ファイル参照、外部ツール連携、コマンド実行など、行動(アクション)まで行えるのが特徴です。
 

何ができる?

  • 普段使っているチャットアプリ(例:WhatsApp/Telegram等)から、AIに作業を頼める
  • 「調べて終わり」ではなく、“実行して完了させる”ところまで寄せられる
 
💻
※実行できる範囲は、連携設定と付与した権限(認証情報)に依存します。
  1. メールまわり(受信箱の処理まで)
      • 受信箱の整理(ラベル付け/アーカイブ/重要だけ抽出)
      • 返信文の下書き作成→送信(許可した場合)
      • 特定条件のメールを探して要点を返す
  1. カレンダー・予定調整(“登録して完了”まで)
      • 予定の追加/変更/キャンセル
      • 明日の予定を一覧化して要点だけ返す
      • 空き時間を探して候補を出す
  1. 旅行・日常タスク
      • フライトのチェックイン(対応する連携がある場合)
  1. チャットアプリから操作(入口が“普段のチャット”)
      • WhatsApp / Telegram(ほか Slack/Discord等)から指示して動かせる
  1. 端末上の作業(ファイル・コマンドに手が伸びる)
      • ファイルを探す/要約する/整理する
      • シェルコマンド実行やスクリプト実行(権限を与えた場合)
        • まさにここが「文章だけのAI」と違う点で、The Vergeは“ローカルでコマンド実行・ファイルアクセスが可能”な性質があります。
  1. skillsで拡張(自社業務に合わせた自動化)
      • skills(拡張)を追加して、できることを増やす
      • 公開レジストリ(ClawHub)由来のskillsを使う運用もある
 

どういう仕組みで動いているの?

OpenClawは、ざっくり以下の部品で成り立ちます。
  • Gateway(ゲートウェイ):チャットの入出力やセッション、ツール実行などを束ねる“制御面(control plane)”。常時稼働させる構成が一般的です。
  • Control UI(管理画面):ブラウザで開くダッシュボード。設定や運用状況の確認、skillsの追加などを行います。
  • skills(スキル/拡張):OpenClawの機能を増やす拡張パッケージ。必要に応じて追加・更新でき、公開レジストリ ClawHub から入手する運用もあります。
つまり、OpenClawは「AIモデルそのもの」ではなく、AIモデル(LLM)と連携しながら、あなたの環境で“作業を進めるための実行基盤”です。
 

ChatGPT等と何が違うの?(誤解が多いポイント)

  • ChatGPT:主に 文章生成・要約・相談 が中心(=出力はテキストが主)
  • OpenClaw:“ツールを使って実行する” のが中心(=端末や外部サービスに手を伸ばす)
この違いがあるため、OpenClawは便利な反面、与える権限が強くなりやすい(ファイル、コマンド、認証情報などに近づける)点がセキュリティ上の注意ポイントになります。
 

なぜ今セキュリティが話題なの?

OpenClawはskillsで機能が広がる一方、2026年2月上旬(例:The Verge 2026/2/4、Reuters 2026/2/5)に、skills配布や運用設定を悪用したリスクが報じられました。
そのため導入時は、「まず外部公開しない」「skillsは最小限」「公開ネットワークへの露出や権限を点検する」 といった“安全寄り”の進め方が重要になります。

OpenClawの「危険ポイント」は どこにあるか

OpenClawのリスクは、大きく3つに分解すると理解が早いです。

1. ネットワーク公開 - Gateway / Web UIの露出

設定を誤って、Web UIや制御プレーンを外部から触れる状態にすると、第三者操作の入り口になります。OpenClaw公式ドキュメント(Security)でも、Webインターフェースを公開インターネットに晒さない旨が明確に示されています。(Security - Overview)
 

2. skills(拡張)の「入手経路リスク」 - サプライチェーンリスク

「便利そうなskills」を入れる行為は、そのまま “外部の不特定なコードや手順”を実行する入口になり得ます。
報道では、ClawHub上で悪意あるskillsが多数見つかったことや、ユーザーにコマンド実行を促すなどの手口でマルウェア感染につながり得る点が指摘されています(※媒体により件数・規模の表現は異なります)。(The Verge)
 

3. 実行権限 - ローカル操作・ファイル・コマンド

OpenClawは“端末で動く”からこそ強いのですが、裏返すと、ファイル・シェル・ブラウザ操作などに近いところまで到達しやすい設計です。権限設計と運用ルールが薄いと、事故が起きたときの影響範囲が大きくなります。(The Verge)

用語をやさしく解説

skillsとは?

OpenClawでいう skills(スキル) は、ざっくり言うと 「OpenClawに追加できる拡張機能(プラグイン)」です。
チャットでの指示だけではできないこと(例:特定のWebサービス連携、ファイル操作の補助、定型作業の自動化など)を、skillsとして追加することで、OpenClawが“できること”を増やせます。(The Verge)
ただし、skillsは便利な一方で、導入=外部のコードや手順を自分の環境で動かすことにもなります。
そのため、出所が不明なskillsを入れると、意図せず 不審な通信・コマンド実行・情報の持ち出しにつながる可能性があります。(The Verge)
📖
skillsのイメージ(超ざっくり)
  • アプリやブラウザの「拡張機能」
  • PCでいう「ツール追加」
    • 便利になるほど、“狙われる入口(穴)”も増える、という理解が重要です。
 

サプライチェーンリスク(供給網リスク)って何?

一言でいうと、「自分では安全にしているつもりでも、“途中で受け取るもの”が汚れていると事故る」リスクです。
もう少し噛み砕くと、
  • OpenClaw本体が安全でも
  • 追加したskillsや、そのskillsが使うライブラリ・更新ファイルが
    • 悪意あるものにすり替わっていた/混ざっていた
というパターンで、感染や情報漏えいが起こり得ます。
📖
サプライチェーンリスクを例えるなら
  • 「料理人(あなた)が清潔でも、届いた食材(skills)が傷んでいたらお腹を壊す」みたいな話です。

まず最初にやるべき 「公式推奨の安全診断」

OpenClawには、設定ミス(いわゆる“地雷”)を検知するための公式コマンドがあります。まずはここから入るのが最短です。
  • 迅速チェック
  • 深掘りチェック
  • 安全寄りの自動修正(可能な範囲で)
公式ドキュメントで、監査コマンドや深掘り監査の流れが示されています。(OpenClaw)

< 最重要 > “安全寄りの設定”チェックリスト

下の表は「最低限ここを押さえる」チェックリストです。Yesにできない項目がある場合は、まず止めて設定を見直すのが安全です。
チェック項目目的目安(安全側)根拠(一次情報)
Web UI / 管理画面を公開インターネットにバインドしていない※外部操作の入口を潰すローカル用途に限定(外部公開しない)GitHub Security Overviewの注意 (GitHub)
Gateway / ネットワーク境界(bind / firewall)を確認した誤公開・乗っ取りに使われるのを防ぐ露出面を最小化、必要ならVPN/踏み台前提Security/運用ガイダンス (OpenClaw)
を実行した典型的な設定ミスの検出監査がパスするまで修正公式ドキュメント (OpenClaw)
で追加チェックを走らせた重要設定の取りこぼし防止外部公開・拡張導入前後で実施公式ドキュメント (OpenClaw)
を使う前に変更点を把握している意図しない挙動変更を防ぐ変更内容をレビューして適用公式ガイダンス (GitHub)
skillsは「必要最小限」だけ導入している入手経路リスクの削減“入れない勇気”を標準にするskills悪用に関する報道 (The Verge)
skillsの導入経路が追跡できる(公式/作者/GitHub等)なりすまし回避出所の追跡ができる状態Securityの運用ガイダンス(拡張の見直し等) (OpenClaw)
※「管理画面を公開インターネットにバインド」とは?
この記事でいう 「管理画面(Web UI)を公開インターネットにバインドしない」は、かんたんに言うと、
管理画面を“外からアクセスできる状態”にしない
(=自分のPCの中だけで開ける状態にする)
という意味です。(GitHub)
Web UI(管理画面)は、設定変更や操作の入口になるため、ここが外部に露出すると 第三者に触られるリスクが一気に上がります。
 
なぜ危ないの?
管理画面が「外から届く場所(IP/ポート)」で待ち受けていると、設定次第で
  • 同じネットワーク内の他人
  • VPN経由で入れる人
  • 最悪、インターネット上の第三者
がアクセスできてしまう可能性があります。
 
安全寄りの考え方
  • まずは ローカル専用(自分のPCの中だけで開く) を標準にする
  • 外部から使う必要があるなら、VPNや認証・IP制限などの追加対策が前提(“そのまま公開”は避ける)
ありがちな事故は「一度外から見えるように設定して、そのまま戻し忘れる」パターンです。
最初から “外から開けない”を標準にしておくのが安全です。

skills(拡張)を安全に扱うための 実践ルール

OpenClawは、ClawHub上のskillsに対して VirusTotalスキャンを導入するなど、検査強化を進めています。(OpenClaw)
 

VirusTotalスキャンとは? - “ウイルス検査サービス”で自動チェックすること。

  • VirusTotal(ウイルストータル)は、ファイルやURLなどを送信して、複数のウイルス対策エンジンでまとめてチェックできる有名なサービスです。
OpenClawの文脈での 「VirusTotalスキャン」は、
ClawHubなどで配布されるskills(拡張)をVirusTotalで機械的にチェックし、
既知のマルウェアや怪しい兆候がないか“見つけやすくする”仕組み
という位置づけです。(OpenClaw)
 
ここが大事:スキャン=安全保証ではない
VirusTotalスキャンは便利ですが、「スキャンに通った=絶対安全」ではありません
  • 新種のマルウェアは、検知されずにすり抜けることがある
  • “怪しくないように見せる”手口は判定が割れることがある
  • 逆に誤検知(無害なのに怪しい判定)もあり得る
なので、VirusTotalは 「危険を早めに見つけるための仕組み」として捉え、運用としては skillsは最小限/出所が追えるものだけ/検証環境で試す といった基本を併用するのが現実的です。(The Verge)
 

運用ルール

上の前提(スキャンは万能ではない)を踏まえたうえで、現実的な運用ルールとしては、次が効きます。
  • 「skillsは増やすほど“狙われる入口”が増える」と理解して、最小構成から開始
  • “手順としてコマンド実行を促すskills”は特に警戒(社会工学で誘導されやすい)(TechRadar)
  • 検証用環境(別ユーザー・別マシン・コンテナ等)で一度試す
  • APIキー・SSH鍵・ブラウザ保存パスワードのある端末で、いきなり試さない(影響が直撃するため)(The Verge)

企業利用で事故を減らす 「運用」チェックポイント

設定だけ整えても、運用が弱いと事故は起きます。企業・チーム利用で効くのはこのあたりです。
  • 導入手順を固定化:初回は必ず監査コマンドを通す(設定変更後も同様)(OpenClaw)
  • 権限を分ける:管理者・運用者・一般利用者でできることを変える(少なくとも“設定変更”は限定する)
  • ログと証跡:誰がいつ設定を変えたか、skillsを追加したかを追える状態にする
  • 公開範囲の原則:Web UIはローカル前提、外に出すなら追加の境界(VPN/認証/制限)を前提にする (GitHub)
またロイター通信は、中国の工業情報化部(MIIT)が、OpenClawの公開ネットワーク露出などの観点で注意喚起したと報じています(=「どこかの国の国家機関」という一般化ではなく、中国当局の注意喚起として理解してください)。(Reuters)

もし怪しい挙動が出たとき

「端末が重い」「見覚えのない通信」「不審なskillsを入れたかもしれない」など、違和感が出たら、最初の30分が勝負です。
  1. ネットワーク遮断(まず拡大を止める)
  1. 導入したskillsと直近変更を棚卸し(いつ、何を、どこから)
  1. 認証情報の再発行(APIキー、トークン、SSH鍵など)
  1. 監査コマンドを再実行(設定が崩れていないか)(OpenClaw)
  1. 必要なら端末を隔離してフォレンジック/EDRへ(企業運用の場合)

まとめ

OpenClawは「端末で動くAIエージェント」として便利な一方、ネットワークの誤公開skills(拡張)経由のリスク端末権限(ファイル/コマンド実行)が重なると被害が大きくなります。
まずは公式の Security Audit( / で設定ミスを洗い出し、公開範囲を絞り、skillsは最小限にするのが安全側の基本です。
加えて、権限・運用ルール・ログ/監査観点まで決めておくと、PoCや社内展開でも事故を防ぎやすくなります。
 
当社ではOpenClawの導入支援は行っておりませんが、OpenClaw以外の生成AI/AIエージェントの安全な導入をご検討の方はぜひご相談ください。貴社の用途に合わせて、データの扱い・権限設計・運用ルール・監査観点まで含めて、一緒に設計します。

まとめ表

目的最短アクション参考(一次情報)
設定ミスを潰す公式Security/ガイド (OpenClaw)
外部露出を避けるWeb UIはローカル用途、公開しないGitHub Security Overview (GitHub)
skills起因の事故を減らすskillsは最小限、出所を追えるものだけskills悪用の複数報道 (The Verge)
2026年の動向を踏まえるスキャン強化は追うが過信しないVirusTotalスキャン導入(公式) (OpenClaw)
 

参考情報

  • OpenClaw公式(VirusTotalスキャン導入) (OpenClaw)
  • OpenClaw公式ドキュメント(Security / auditコマンド) (OpenClaw)
  • openclaw/openclaw GitHub(Security Overview / Web Interface Safety) (GitHub)
  • skills悪用に関する報道(The Verge / TechRadar) (The Verge)
  • 中国当局の注意喚起に関する報道(Reuters) (Reuters)
 

用語・サービスリンク集

 

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