【ISO/IEC 42001とは?】AIリスクマネジメントの国際標準と説明可能なAI(XAI)の重要性【AIMS】

[updated: 2025-06-11]

はじめに

私たち株式会社Elcamyでは、AI技術を活用したサービス開発に取り組む中で、常に「AIリスクマネジメント」の必要性を強く感じています。
最近では、オプティマソリューションズ株式会社様が主催された「国際規格ISO/IEC 42001(AIマネジメントシステム認証)セミナー」に参加し、AIリスクマネジメントが今後ますます重要になることを改めて認識しました。
セミナーの動画は、下記からダウンロードできます。
▼動画配信視聴・資料ダウンロード
 
 

ついに制定された「AIマネジメントの国際基準」

AIの導入が進む現代において、信頼性や安全性、倫理的な課題をいかにマネジメントするかは、企業にとって避けて通れない重要テーマです。
2023年12月、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)は、AIマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 42001」を発行しました。この規格は、AIを安心して社会実装するためのリスク管理の新たな基準となります。
本記事では、ISO/IEC 42001の概要とともに、そこで重要視される説明可能なAI(XAI:Explainable AI)の役割について、公式情報などからわかりやすく解説します。

ISO/IEC 42001とは?AI時代の「安心」を支える国際規格

ISO/IEC 42001は、AIシステムの設計、開発、導入、運用、保守におけるリスクを適切に管理するための国際的なマネジメントシステム規格です。
規格名内容
ISO/IEC 42001AIリスクマネジメントの国際標準
発行元ISO(国際標準化機構)、IEC(国際電気標準会議)
発行年2023年12月
従来の「情報セキュリティ(ISO 27001)」や「品質管理(ISO 9001)」ではカバーできなかった、AI特有の課題──たとえばアルゴリズムの不透明性や倫理的問題──に対応するために、この規格が策定されました。
出典

なぜAIリスクマネジメントが必要なのか

AI導入は効率化や新たな価値創出につながりますが、その一方で以下のようなリスクが潜んでいます。
リスクカテゴリ具体的なリスク事例
バイアス(偏り)採用AIが特定の性別や人種を不当に優遇・排除する
ブラックボックス問題なぜその結果になったのか説明できない
安全性・信頼性誤作動による事故(例:自動運転の誤判断)
プライバシー侵害個人データの過剰取得や誤使用
こうしたリスクは、企業の信用失墜や法的トラブルを招く要因となります。特にEUにおける「AI法(EU AI Act)」をはじめ、世界的にAIへの規制強化が進んでおり、リスク対応は今後ますます重要になります。
出典

ISO/IEC 42001が求めるAIマネジメントのポイント

AIMS(AIマネジメントシステム)とは?

ISO/IEC 42001が提供する中心的な仕組みが、「AIMS(AI Management System:AIマネジメントシステム)」です。
これは、AIのリスクを計画的かつ継続的に管理するためのフレームワークで、ISO/IEC 42001 では PDCA を基本とした運用が推奨されており、一般的には次のような 5 段階で整理されることが多いです。
ステップ内容
1. リスクの特定どの部分にリスクが潜んでいるかを洗い出す
2. リスク評価そのリスクがどれほど深刻か、どれくらいの確率で起こるかを評価
3. リスク対策の計画と実行対策案を立て、実際に行動に移す
4. 説明責任とトレーサビリティ判断の過程や責任者、根拠を記録し、後から確認できる状態にする
5. 継続的改善PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルで改善を続ける
 

なぜ「説明責任」が重視されるのか?

AIが出す判断は、ときに人間の意思決定よりも複雑です。そのため、「なぜその判断をしたのか」を説明できないと、ユーザーや社会の信頼を得ることができません。
説明責任を果たすことで、以下のようなメリットがあります。
  • 社会的な安心感の確保
  • 法的リスクへの備え
  • 社内外ステークホルダーへの透明性の提供

XAI(説明可能なAI)の役割と必要性

XAIとは何か?

XAI(Explainable AI:説明可能なAI)とは、AIが出した予測や判断について、その根拠を人間が理解できる形で説明する技術や手法の総称です。
AIの判断はしばしば「ブラックボックス」と呼ばれ、内部で何が起きているのかがわかりづらいという課題があります。これを解消するのがXAIです。
 

なぜXAIが必要とされるのか?

理由説明
ユーザーの納得感向上結果の理由がわかれば受け入れやすい
バイアスや誤作動の検証が可能不公正や異常な判断を早期に発見できる
法規制への対応説明責任を果たし、監査や審査に耐えられる
 

代表的なXAI手法

手法特徴
LIME各予測の周辺データを用いて説明する手法
SHAP予測結果に影響を与えた各特徴量の寄与度を可視化する手法
決定木(Decision Trees)シンプルなルールと条件分岐で説明可能なアルゴリズム
出典

実務での活用法:ISO/IEC 42001とXAI導入ステップ

ISO/IEC 42001を自社で導入する際は、次のようなステップを踏むことが効果的です。
ステップ内容
1. 現状評価(ギャップ分析)現在のAI活用状況と潜在リスクを洗い出す
2. AIMS設計と導入必要なルールやプロセスを設計し、ドキュメント化する
3. XAIの選定と適用使用するAIモデルに適した説明手法(SHAPやLIMEなど)を組み込む
4. 社内教育と文化醸成社員全体への教育を行い、AIリスクマネジメントの意識を共有する
 

実践事例(海外)

  • ドイツ製造業の事例
    • 製造ラインの異常検知にAIを活用。異常の原因をSHAPで可視化し、品質保証部門と連携して説明責任を強化。
出典

まとめ:AIリスクマネジメントとXAIは企業の信頼基盤

項目ポイント
ISO/IEC 42001AIリスクマネジメントの国際標準
AIMS継続的なリスク管理を可能にする仕組み(PDCA)
XAI(説明可能なAI)判断根拠を可視化し、安心と透明性を提供
導入による企業メリット法規制への対応、ステークホルダーからの信頼獲得、社会的信用の向上
AIを「安心して使える技術」にするためには、リスクマネジメントと説明可能性の確保が不可欠です。株式会社Elcamyでは、企業のAI活用をトータルでサポートしています。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にElcamyまでお問い合わせください。
 

認証取得をご検討中の方

AIMS(AIマネジメントシステム)やプライバシーマーク(Pマーク)、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの取得をご検討中の企業様は、オプティマソリューションズ株式会社様へのご相談をおすすめします。
弊社も、Pマーク取得にあたり、同社から多大なご支援をいただきました。
▼詳細は下記をご覧ください。
 

参考リンク

 

サービス紹介

Dify の構築や、ワークフローの作成は、見た目以上に複雑で思っていたより大変な部分も多いんです。でも、ご安心ください。弊社のサービスで、そんな面倒な作業も丸投げできちゃいます。
「自分たちで全部やるのは時間もないし無理だな」と感じたとき、ぜひお任せください。本当にやりたいことに集中できるよう、しっかりサポートいたします。お気軽にご相談ください!

お問い合わせ

お客様の社内DX、内製化、新規事業開発・事業成長等における課題解決をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。