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#Google Cloud2026.07.31

Google Cloud Next Tokyo '26 DAY2基調講演レポート|エージェントプラットフォームとエージェンティックデータクラウドの全貌

2026年7月31日開催のGoogle Cloud Next Tokyo '26 DAY2基調講演を要約。Gemini Enterprise Agent Platformの一般提供開始、エージェンティックデータクラウド、AIネイティブなセキュリティ防御まで、発表内容と国内事例を解説します。

Google Cloud Next Tokyo '26 DAY2基調講演の主要発表内容をまとめたイラスト図解

図1:Google Cloud Next Tokyo '26 DAY2基調講演で発表された5つの主要トピック

2026年7月31日、東京ビッグサイトで開催された「Google Cloud Next Tokyo '26」2日目の基調講演では、Gemini Enterprise Agent Platformの一般提供開始と、企業のデータ基盤を刷新する「エージェンティックデータクラウド」が中心テーマとして紹介されました。この記事では、DAY2基調講演で発表された内容を要約します。

この記事でわかること

  • AIエージェント時代を支えるインフラ(TPU・GPU・ストレージ・ネットワーク)の最新アップデート
  • Gemini Enterprise Agent Platformの一般提供開始と、ガバナンス機能の全体像
  • 「エージェンティックデータクラウド」という新しいデータ基盤の考え方
  • GovTech東京・NTTドコモなど国内企業のAI活用事例
  • AIを使った自律的なセキュリティ防御「AIネイティブディフェンス」の最新動向

Google Cloud Next Tokyo '26 DAY2とは?

Google Cloud Next Tokyo '26は、2026年7月30日・31日の2日間、東京ビッグサイトで開催されたGoogle Cloudの国内最大級カンファレンスです(Google Cloud)。DAY1の基調講演がGemini Enterpriseと国内企業の活用事例を中心に据えていたのに対し、DAY2の基調講演は、AIエージェントを支える「土台」――インフラ・開発基盤・データ基盤・セキュリティ――を深掘りする内容でした。

登壇したGoogle Cloudの担当者は冒頭、DAY1で発表したAIエージェントプラットフォーム「Gemini Enterprise」と、それを支える基盤の全体像について、DAY2ではより具体的に掘り下げると説明しました。

Google CloudのAIインフラはどこまで進化したのか?

基調講演では、TPU・GPU・CPUからストレージ・ネットワークまでを一体設計した「AIハイパーコンピューター」(クリーンエネルギーや専用インフラを単一の基盤に統合したコンピューティング環境)の最新アップデートが紹介されました。

TPU・GPU・CPUの選択肢

2026年4月に発表済みの第8世代TPUが改めて紹介されました。学習用の「TPU 8t」と推論用の「TPU 8i」という、用途別に設計された2種類のチップで構成されています(Google Cloud)。

GPUについては、NVIDIAの次世代プラットフォーム「Vera Rubin NVL72」を早期に提供するクラウドの一つになることが紹介されました。Google Cloudは、Vera Rubin NVL72を支える新しいネットワーク「Virgo Network」も発表しており、単一データセンターで最大8万基、複数拠点を合わせると最大96万基のGPUを束ねられるとしています(Google Cloud)。

汎用ワークロード向けには、カスタム設計のArm CPU「Google Axion」を採用したインスタンスも拡充されました。コストを重視した汎用インスタンス「N4A」と、性能を重視した「C4A」があり、N4Aは同等のx86インスタンスと比較して最大2倍の価格性能比を実現するとされています(Google Cloud)。

ストレージとネットワークも刷新

並列ファイルシステム「Google Cloud Managed Lustre」は、最大毎秒10TBのスループットを実現し、前年比10倍の向上だと説明されています(Google Cloud)。また、保存した非構造化データに自動でインテリジェンスを付加し、AIエージェントがすぐに活用できる状態にする「スマートストレージ」機能も紹介されました。

運用面では、GKE(Google Kubernetes Engine、コンテナ化されたアプリケーションを自動管理する基盤)が、25万6,000ノードを束ねる大規模クラスター機能や、サーバーの起動時間を最大81%圧縮する「ポッドスナップショット」機能を追加したと説明されています。

Gemini Enterprise Agent Platformの一般提供で何が変わる?

Gemini Enterprise Agent Platformの7機能(ADK・A2A・エージェントランタイム・エージェントID・エージェントレジストリー・エージェントゲートウェイ・エージェントオブザーバビリティ)を構築層とガバナンス層に整理した図

図2:Gemini Enterprise Agent Platformを構成する7つの機能(構築・実行層とガバナンス・可視化層)

続いて登壇したGoogle Cloudの担当者は、Gemini Enterprise Agent Platformの一般提供開始を発表しました。これは、AIエージェントの構築・拡張・ガバナンス適用・最適化までを一貫して行える基盤です(Google Cloud)。基調講演では、この基盤を構成する機能が紹介されました。

機能概要
ADK(Agent Development Kit)AIエージェントの構築・実行・デバッグを行うオープンソースのフレームワーク。Google Cloud全体のスキルや、MCP(Model Context Protocol、AIとツールを接続する標準規格)に対応したツールを組み込める
エージェント間プロトコル(A2A)複数のエージェントが互いの機能を公開し合い、データを安全に交換しながら連携できるオープンな標準規格
エージェントランタイムエージェントを実行・スケールさせるマネージド環境。セッション履歴を自動で圧縮する「コンテキストウィンドウの自動コンパクション」や、セッションをまたいで記憶を保持する「メモリーバンク」に対応する
エージェントID各エージェントに暗号学的に検証可能な固有IDを割り当てる仕組み。オープン標準のSPIFFE(Secure Production Identity Framework For Everyone)をベースに構築されている
エージェントレジストリーエージェント・スキル・ツール・MCPサーバーを一元管理し、検索・再利用できるようにする仕組み。基調講演当日からスキルのプレビュー提供が始まったことも発表された
エージェントゲートウェイエージェントへのすべての通信を一元的に制御するポイント。プロンプトインジェクションや機密データ漏洩を防ぐ「Model Armor」と連携できる
エージェントオブザーバビリティOpenTelemetry(実行状況を計測・可視化するオープンソース標準)を活用し、エージェントの応答内容や実行パスを可視化・評価する機能

エージェントレジストリー・エージェントゲートウェイ・エージェントIDは、Wizをはじめとする複数のセキュリティベンダーとの連携に対応しており、企業が持つセキュリティ体制と組み合わせて利用できるとされています(Google Cloud)。

デモで示された「本番で使えるエージェント」の作り方

基調講演では、これらの機能を組み合わせた購買申請エージェントのデモが行われました。社内チャットに「ノートPCが3台欲しい」と伝えると、A2UI(会話内容に応じてボタンやフォームを動的に生成する技術)によって申請フォームが自動生成され、別の在庫管理エージェントや予算管理MCPと連携しながら申請が完了する様子が紹介されました。

さらに、悪意のある指示(支払い先口座を無断で変更する指示など)や、未承認のMCPサーバーへの通信を試みるデモも行われ、いずれもエージェントゲートウェイのポリシーによってブロックされることが示されました。エージェントの通信・アクセス権限をエージェントレジストリーとエージェントIDで一元管理することで、問題発生時に影響範囲を特定し、権限を絞り込めると説明されています。

なぜ「エージェンティックデータクラウド」が必要なのか?

エージェンティックデータクラウドとは、AIエージェントが企業データを安全かつリアルタイムに活用できるよう、データ基盤全体を統合したGoogle Cloudのアーキテクチャです。基調講演に登壇したGoogle Cloudの担当者は、この基盤が必要な理由として3つの構造変化を挙げました。

  1. 人間規模からエージェント規模へ:担当者はオーケストレーターへと役割を変え、エージェントが24時間体制でビジネスを監視・運用するようになる
  2. 受動的なインテリジェンスから能動的な行動へ:過去のデータから予測するだけでなく、その瞬間に実行まで行うことが求められる
  3. データからコンテキストへ:これまで活用されてきたのはデータのごく一部に過ぎず、非構造化形式の「ダークデータ」を含めた全データの意味・関係性を理解する必要がある

担当者は、断片化されたデータスタックの上でAIエージェントを拡張しようとすると、コストの増大、データが孤立する「ウォールドガーデン」、豊かなコンテキストが得られない「トラストギャップ」という3つの構造的な問題が生じると指摘しました。

エージェンティックデータクラウドは何を実現するのか?

Google Cloudは2026年、この課題を解決する「エージェンティックデータクラウド」を発表しています(Google Cloud)。基調講演では、3つの領域に分けて機能が紹介されました。

ボーダレスレイクハウス――データを動かさずに活用する

オープンなテーブル形式「Apache Iceberg」をベースに、AWSやAzureにあるデータもGoogle Cloud上のデータのように扱える仕組みです。クロスクラウド接続機能により、データにアクセスする際の変動型データ転送コストをゼロにできるとされ、SnowflakeのHorizon CatalogやDatabricksのUnity Catalogとのカタログ連携も進められています。また、AlloyDBのレイクハウスフェデレーション機能により、取引データベースから直接データウェアハウスをクエリできるようになったことも紹介されました。

信頼できるコンテキスト――90%のダークデータを光に当てる

Knowledge Catalog(メタデータとビジネスの意味を全社的に集約する仕組み)は、企業の運用データベースからGoogle Cloud Storage内の非構造化データまで、あらゆるソースから情報を引き出し、AIエージェントが参照できる状態にします(Google Cloud)。

企業データの90%は文書・画像・ログなどの非構造化データ(いわゆる「ダークデータ」)に閉じ込められているとされ、Google Cloud Storageが持つAIモデルによる自動メタデータ生成機能によって、この非構造化データもリアルタイムの推論に活用できるようになるといいます。Bloomberg Mediaは、Knowledge Catalogを使って社内チームが大規模なデータレイクを自然言語でクエリできるデータアクセスAIエージェントを構築した事例として紹介されました。

意図したとおりの結果――コード不要でデータエージェントを作る

データエージェントキットは、VS Code・Claude Code・Antigravity CLIといった開発者が普段使う環境に、MCPツールやプラグインの形で組み込まれる機能です。開発者が意図を定義するだけで、構造化計画の生成からコードのデプロイまでを支援します。また、BigQuery・Looker・AlloyDB・Spanner・Cloud SQLで作成した会話型分析エージェントを、Gemini Enterpriseにそのまま公開できる機能も紹介されました。Macquarie Bankは、この基盤を活用し、200万人の顧客からの銀行業務に関する質問の多くに、24時間365日体制で自律的に回答している事例として紹介されています。

日本企業はエージェンティックデータクラウドをどう活用しているのか?

基調講演では、GovTech東京とNTTドコモの2社が登壇し、エージェンティックデータクラウドを活用した具体的な取り組みを紹介しました。

GovTech東京――1,000万人の都民に届く「東京アプリ」

一般財団法人GovTech東京の井原正博氏(業務執行理事・CTO)が登壇し、東京都・特別区・市町村の行政デジタル変革を推進する同法人の取り組みを紹介しました(GovTech東京)。

井原氏は、2024年の能登半島地震で自身が被災した経験から、災害時にも行政サービスに確実につながれる基盤づくりを使命としていると述べました。GovTech東京は開発を外部委託せず、自ら企画・設計・開発・運用まで手がける「内製開発」体制を特徴としており、既に600万ダウンロードを超えている東京都公式アプリ「東京アプリ」の次世代版を、1,000万人を超える都民全員が使える共通の入り口として開発していると説明しています。

次世代の東京アプリでは、災害時の急激なアクセス集中に耐える安定性と、住民に届ける情報の整合性を両立させる必要があるとして、データベースにはCloud Spannerを採用したといいます。井原氏は、行政の住民向けアプリケーションでのCloud Spanner採用は国内でもまだ少なく、大規模なスケール対応と強いデータ整合性の両立を評価して選んだと説明しました。

NTTドコモ――マーケティングをゼロベースでAI化

NTTドコモの鈴木氏が登壇し、マーケティングプロセスをAIでゼロベースから再構築する取り組みを紹介しました。同社は、顧客理解のためのデータ・施策設計のロジック・施策結果・事業の知見という4種類のデータをAIエージェントに統合し、サービス横断で一人ひとりに最適な体験を提供することを目指しているといいます。

鈴木氏は、現場の実践的な知識をAIに渡す情報源として、社内の業務担当者が使ってきた130以上のデータ活用ウェブアプリのソースコードやログに含まれる集計ロジック・評価基準・実行ワークフローに着目していると説明しました。これらの資産を構造化されたナレッジに変換し、Google Cloudのデータ基盤・Gemini・Gemini Enterprise Agent Platformを組み合わせて、現場の知識を反映したエージェントを構築する計画だといいます。同社は2027年をめどに、施策設計から検証までを複数のエージェントで担うマーケティングオペレーションの実現を目指しているとしています。

セキュリティはAIネイティブディフェンスへどう進化したのか?

基調講演の終盤では、Google Cloudの担当者が「AIネイティブディフェンス」の考え方を紹介しました。脆弱性が発見されてから実際に悪用されるまでの期間は、1.3年からわずか1.6日にまで短縮されているとされ、Googleはこの変化を重く受け止めつつ、AI活用による防御体制の強化を進めてきたと説明しています(Google Cloud)。

Google DeepMindとGoogle Project Zeroが2023年から取り組んできた研究プロジェクトは、AIエージェント「Big Sleep」に進化し、世界で初めてAI単独でオープンソースソフトウェアの未知のゼロデイ脆弱性を発見したとされています(Google Cloud)。また、AIによる脆弱性発見のスピードにコード修復が追いつかない課題に対応するため、自動コード修復エージェント「CodeMender」も紹介されました。CodeMenderは複数のモデルを選択でき、その一つがセキュリティ用途に特化したカスタムモデル「Gemini 3.5 Flash Cyber」だといいます。

Google Cloudは、AIによる防御を「可視化」「スキャンと優先順位付け」「修復」「監視」の4ステップで統合するアプローチを提案しています。基調講演では、このうちスキャンと優先順位付けを2025年にGoogleが買収したセキュリティ企業Wizが、修復をCodeMenderが担うデモが行われました(Google Cloud)。

デモでは、Wizが仮想マシン上のAIエージェントとデータベース・インターネット公開設定の関連をグラフ化し、実際に攻撃を試みる機能で認証バイパスの脆弱性を発見しました。CodeMenderは、C++で書かれたソースコードからバッファオーバーフローの脆弱性を検出し、実際に攻撃コードを実行して確度100%で検証したうえで、副作用が起きないことを確認しながら修正パッチを自動生成する様子が紹介されました。

まとめ

Google Cloud Next Tokyo '26 DAY2の基調講演では、次の3点が主なメッセージとして示されました。

  • Google Cloudは、TPU・GPU・ストレージ・ネットワークまで、AIエージェント時代に必要なインフラを一貫して自社開発している
  • Gemini Enterprise Agent Platformが一般提供を開始し、ADK・エージェントレジストリー・エージェントゲートウェイ・エージェントオブザーバビリティなどが揃うことで、本番環境で使えるエージェントを構築できる体制が整った
  • エージェンティックデータクラウド」という考え方のもと、GovTech東京・NTTドコモなど国内企業も、データ基盤とAIエージェントを組み合わせた実践的な取り組みを進めている

Google Cloud Next Tokyoは2026年7月30日・31日の2日間で幕を閉じました。次回は2027年8月5日・6日の開催が予定されています。


出典一覧

  1. 「第 8 世代 TPU:エージェンティック時代に向けた 2 つのチップ」 — Google Cloud(2026-04-22)
  2. What's new in cloud networking at Next '26 — Google Cloud
  3. Axion-based N4A VMs now generally available — Google Cloud
  4. Next '26で発表したAIワークロードを加速するストレージイノベーション — Google Cloud
  5. Introducing Gemini Enterprise Agent Platform — Google Cloud
  6. Next '26: Redefining security for the AI era with Google Cloud and Wiz — Google Cloud
  7. What's new in the Agentic Data Cloud — Google Cloud
  8. Introducing the Google Cloud Knowledge Catalog — Google Cloud
  9. GovTech東京 登壇告知(東京アプリ・内製開発) — 一般財団法人GovTech東京(2026-07-22)
  10. 「Google AI Threat Defense 発表:攻撃者の先を行くために」 — Google Cloud(2026-05-28)
  11. Cloud CISO Perspectives: Our Big Sleep agent makes a big leap — Google Cloud
  12. Google Cloud Next Tokyo '26(イベント公式ページ) — Google Cloud(2026-07-30〜31開催)

関連サイト

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