データで見る福利厚生の対投資効果(ROI):効果的な福利厚生とは?

[updated: 2024-10-02]

はじめに

福利厚生は、企業の競争力を高め、従業員のモチベーションや生産性を向上させるための重要な施策です。しかし、すべての福利厚生が同じように効果を発揮するわけではなく、どの取り組みが最も効果的なのかを見極めることが大切です。この記事では、福利厚生プログラムの対投資効果(ROI: Return on Investment)をデータに基づいて分析し、企業にとって有益な福利厚生の取り組み方について具体的に紹介します。

福利厚生のROIとは?

ROI(投資利益率)とは、投資に対して得られた利益の割合を示す指標であり、企業が福利厚生にかけたコストとその効果を定量的に評価するために用いられます。福利厚生のROIを計算するには、福利厚生にかけたコストとその結果得られた生産性向上や従業員の満足度改善などの数値を比較する必要があります。

ROIの計算方法

福利厚生のROIは、次のように計算されます。
ROI = (利益 ÷ 投資コスト) × 100
ここで、利益とは福利厚生制度によって得られた収益やコスト削減額を指し、投資額は福利厚生制度の導入や運用にかかる総費用です。
ROIの高い福利厚生プログラムを特定するためには、導入する施策が具体的にどのような影響を及ぼしているかをデータで測定することが重要です。

福利厚生の効果を示すデータ

福利厚生の効果に関する近年のデータによると、以下のような施策が特に高いROIや従業員満足度の向上をもたらすことがわかっています。
福利厚生効果
健康促進・ヘルスケアジョンソン・エンド・ジョンソンの調査によると、健康経営への投資1ドルあたり約3ドルのリターンが得られるとされています。この結果は、従業員の健康を促進することが企業の生産性向上や業績改善につながることを示しています
教育・スキルアッププログラム日立建機は教育や研修などによる人材育成を推進しており、具体的なROIの数値として、2020年には-47.0(百万円)だったROIが、2021年には14.0(百万円)、2022年には52.0(百万円)と大幅に向上しました。この改善は、教育プログラムによる従業員の能力向上と、それによる業務成果の向上が寄与していると考えられます。
リモートワークや柔軟な働き方柔軟な勤務制度の導入後、NECが行ったリモートワークに関するアンケート調査では、約80%の従業員がリモートワークに「大変満足」または「満足」と回答し、従業員満足度の向上が見られました。
 

効果的な福利厚生プログラムの特徴

これらのデータを基に、特に高い効果が見込まれる福利厚生プログラムをいくつか見ていきましょう。

健康促進・ヘルスケア

社員の健康をサポートする施策は、長期的に高いROIを生むことがわかっています。例えば、健康診断やフィットネス補助、メンタルヘルスサポートを提供することで、欠勤が減少し、業務の集中力が向上します。
健康な社員は業務に集中でき、生産性が向上します。また、病欠が減ることで企業全体のパフォーマンスが安定します。
 

教育・スキルアップ支援

社員に対するスキルアップや学習機会の提供も非常に効果的です。特に、デジタルスキルやリーダーシップ研修などのプログラムは、従業員の自己成長を促し、長期的な企業貢献を引き出します。
スキルの向上は、業務効率化や新しいアイデアの創出に直結します。また、従業員が自己成長を実感できる環境を整えることで、企業に対するエンゲージメントも高まります。
 

柔軟な勤務制度

リモートワークやフレックスタイム制の導入は、コロナ禍をきっかけに急速に普及しました。従業員が働きやすい環境を提供することで、ストレスが軽減され、満足度が向上し、離職率の低下にもつながります。
柔軟な勤務制度は、育児や介護と仕事の両立や社員のQOLを向上させるだけでなく、創造性や集中力を高め、結果的に企業の生産性も向上します。

大手企業の事例

実際に福利厚生プログラムを導入し、高いROIを得ている企業の事例を見てみましょう。

Googleの健康促進プログラム

Googleでは、フィットネス施設の利用や無料の健康診断、メンタルヘルスサポートを提供しています。この結果、従業員の健康維持に貢献し、全体の生産性向上に努めています。

Salesforceのスキルアッププログラム

Salesforceは、従業員に対して継続的なスキルトレーニングの機会を提供しています。特にITスキルやリーダーシップに力を入れることで、従業員のモチベーションが向上し、会社への忠誠心も強まっています。

ROIを最大化するためのポイント

効果的な福利厚生プログラムを導入し、ROIを最大化するためには、以下のポイントに注目することが重要です。
ポイント説明
従業員のニーズを把握すること社員が本当に必要としている福利厚生を理解し、柔軟に対応することが効果的です。定期的なアンケートやフィードバックの収集を行い、プログラムを見直しましょう。
コスト対効果を常に見極めること全ての福利厚生が高ROIを生むわけではありません。各プログラムの効果をデータに基づいて評価し、最も高いリターンが見込める施策に集中投資しましょう。
継続的な評価と改善福利厚生の効果は時間の経過や外部環境によって変動するため、定期的な評価と改善が必要です。状況に応じた柔軟な対応がROI向上に寄与します。

まとめ

福利厚生プログラムの対投資効果を高めるためには、従業員のニーズに合った施策をデータに基づいて選定し、継続的に評価・改善していくことが重要です。健康促進プログラムや柔軟な勤務制度、スキルアップ支援など、効果的な施策をバランスよく取り入れることで、企業と従業員双方にメリットが生まれます。
福利厚生プログラム効果の例ROIのポイント参考リンク
健康促進プログラム欠勤率削減、生産性向上健康な社員が業務に集中できるhttps://www.jnj.co.jp/media-center/press-releases/20180221
教育・スキルアップ支援業務効率化、自己成長スキル向上が企業競争力を強化https://www.hitachicm.com/content/dam/hitachicm/global/ja/sustainability/docs/human-capital-report.pdf
柔軟な勤務制度満足度向上、離職率低下ストレス軽減、創造性向上https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/rd/topics/topics_22.html
https://www.soumu.go.jp/main_content/000849417.pdf
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